REパブリック!! 〜政治・経済ニュースのブログ〜

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アメリカ民主主義の可能性と限界 〜政府債務上限問題を掘り下げて考える〜

多様性の時代、アメリカの2大政党制が限界を迎えているのではと思わざるを得ない。

今、世界が固唾を飲んで見守っているアメリカ政府の債務上限問題。以前の記事で、私は「トランプの亡霊」が取り憑いていると述べた。

re-public.hatenablog.com

G7広島サミットの直前まで来日できるか未知数で、サミットの最中もこの問題でセッションを中座せざるを得なかったアメリカのバイデン大統領。

背景にあるのは、下院で多数派を占めている共和党との折り合いがつかないことにある。

イエレン財務長官がデフォルトの「Xデー」と見定める6月1日が続く中でも、未だにこう着状態が続いている。

この折り合いの付かなさをどうみればいいのか?

www.nikkei.com

この記事を読んで、私は少し理解を深めることができた。

記事中、このように書かれている。

民主の左派と共和の保守強硬派は互いに、妥協するぐらいなら交渉を中断すべきだと主張している。これまでも党内の突き上げによって側近間の交渉が膠着した経緯があり、今後の交渉に与える影響は軽視できない。

つまり、妥協を許さない強硬派は、共和党内のトランプ支持者だけではないのである。マッカーシーが党内の超保守派に手を焼くように、バイデンもまたウルトラ左派に手を焼いている。下手に妥協しようものなら、党内をまとめられず、採決で造反が出ることになる。

例えていうならば、2000年代後半の日本においてLGBT理解増進法案が審議されているとしよう。

2007年、自民党参院選で大敗し、民主党参院において第1党となった。

LGBT理解増進法案をなんとしても可決させたい自民党は、しかし党内に強硬な保守派を抱えており(安倍派など)、リベラルの求めるがままの文面には応じられない。

一方、民主党内にもグラデーションがあり、共産党に近い左派系の議員は、自民党案を受け入れられないという。

このままでは廃案となってしまうが、本当にそれでいいのか? 自民党の党首と、民主党との党首は、どのようにリーダーシップを発揮して党内をまとめ、相手と渡り合うか。かなりの政治的力量が問われることになる。

これが起こっているのが今のアメリカなのである。

そして、民主党共和党の双方がウイング広く議員を抱えていて、まとめきれなくなっている。多様性もついにここまで来たかという感じがする。

とはいえ、アメリカで第3の政党が生まれることも考えにくい。民主党共和党という2大政党制が経済・社会の仕組みとして定着しているためだ。

どこまでも多様な価値観が広がり、収拾のつかなくなっていく現代にあって、それでも民意の代表者をまとめ上げていく強力なリーダーシップが存在し得るのか。それとも、多様性の行き着く先が、決裂に次ぐ決裂が引き起こすデフォルトで、世界経済を大混乱に陥れるのか。

実は今、アメリカ開国以来の最大の試練を迎えているのかもしれない。それはもしかしたら、自由と民主主義の可能性と限界の臨界点のXデーということになるのかも、しれない。