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国際情勢はピタゴラスイッチ? 〜シリアとウクライナ〜

きょう、シリアが「アラブ連盟」に復帰するとのニュースが飛び込んできた。ロシアによるウクライナ侵攻への影響という視点で、以下考えてみたい。

まず、シリアはアサド政権による弾圧が激しく、2011年にアラブ連盟の資格を停止された。

アラブ連盟とは、21カ国と1機構で構成されるアラブ諸国の地域連携機構である(いわば東南アジアのASEANみたいなものか?)

それが、なぜ今になって復帰が認められたのか?

これはなかなか一言で説明しにくそうだが、ざっくりいうと、アメリカが中東から手を引いていく中で、パワーバランスが変化し始めているということが言えそうだ。

大切なポイントの1つは、今年の3月に長く敵対してきたサウジアラビアとイランが外交関係の正常化で合意。これを中国が仲介したことが世界に大きな衝撃を与えた。

イランは長くシリアのアサド政権を支援してきたのに対し、サウジアラビアは欧米と同調しシリアの反体制派を支持してきた。つまり、シリアを舞台にも、サウジとイランは対立してきたわけだが、両国の関係正常化を受けて、サウジがシリア・アサド政権に近づいた。

アラブ連盟が12年ぶりにシリアの復帰を認めたのは、アサド政権が国内の主要地域をおさえ、内戦で軍事的な優位を確立したためだ。これを受けアラブ首長国連邦UAE)などがシリアとの関係改善を進める姿勢に転換。今年3月にイランとの外交正常化を決めたサウジも、アサド政権との接近にかじを切った。

www.nikkei.com

サウジだけでなく、UAEもシリアに接近。一方、カタールは慎重な姿勢を保つなど、アラブ諸国内でも温度差はみられる。

これが、ウクライナ侵攻とどう関係してくるのか?

ご存知の通り、シリアのアサド政権の強固な後ろ盾となっているのは、ロシアである。

ロシア目線で見てみると、アメリカが中東で存在感を失っていく中で、アラブ諸国が親露のシリアに近づいてくることは非常に好ましいことだ。ましてや、その1つの引き金を引いたのが、サウジとイランの間を取り持った中国なのだ。

風が吹けば桶屋が儲かる」ではないが、ピタゴラスイッチ的に、1つの動きが繋がりあって国際情勢は動いていく。

この動きがさらに今後どうなっていくのか。

まもなく開催されるG7広島サミットでは、日本は中東を含む「グローバルサウス」と呼ばれる諸国を自らの陣営に引き込み、力による一方的な現状変更を認めないなど法の支配を重視する価値観を普及させたい考えだ。

中ロとG7欧米諸国と、アジアを代表する日本。どのような駆け引きが展開されるのか。そこには、安全保障の問題だけでなく、エネルギーの問題や、多くの難民を受け入れているトルコの大統領選なども絡んでくる。目が離せない。