自民党安倍派の「G7」の行方は・・・?
G7広島サミット「共同文書」の注目ポイントを最速解説!?
アメリカ情勢を世界が見ている 〜共和党4派閥〜
この前の記事で、アメリカの政府債務上限の問題がトランプの亡霊に囚われているのではないかと書いた。すると・・・
まるでこの記事に反応するかのような記事が日経新聞に!
アメリカの共和党内には4つの派閥があり、その勢力図を解説する内容。それによると、4つの派閥は次のような布陣だという。
- 保守的ナショナリスト(究極のアメリカ・ファースト、トランプ派)
- 国際秩序派(国際貢献に前向き)
- 保守的国際派(国際秩序は維持するが、アメリカの国益を重視。多国間協調より2国間協力)
- 対外関与抑制派(とにかく国内課題優先)
*アメリカの政府債務上限問題をめぐっては、上記のうちの1の「保守的ナショナリスト」が、人数はそこまで多くはないものの「上限引き上げ」に強硬に反対し続けていることが背景にあるということになる。
そして、この日経の記事で重要なポイントは、この4派閥の存在がウクライナ支援に影響してくるという指摘である。
ウクライナ支援はこれまで国際秩序派が主導し、保守的国際派の多くも同調してきた。米政界関係者らの見立てによれば、上下両院の共和党議員のうち、現状では両派の比率が7~8割程度の人数を占める。
このため、トランプ派など一部議員が反対しても、米国のウクライナ支援拡大が揺らぐことはなかった。だが、この構図がいつまで続くかは分からない。
ウクライナでは近日中に「反転攻勢」に出ると言われている。これまでアメリカでは特に軍事面で莫大な支援をしてきたし、イギリス・ドイツなど欧州各国も武器の提供などをとおして支えてきた。
この「反転攻勢」が期待通りの成果を上げられなかった場合、これまで支援を支持してきた2の国際秩序派や3の保守的国際派のメンバーも、否定的な意見を出す可能性もあるのではないか。
下記の一言は、かなり重要だ。
米共和党の国際秩序派の一人は「年末になってもウクライナが苦戦していたら、西側陣営にとっては敗北だ」と語る。米国による支援疲れを防ぎ、西側陣営の結束を保つ上で、反転攻勢の成否が極めて重要な重みを持つ。
やはり、ウクライナ支援にせよ何にせよ、鍵を握るキープレイヤーの1人はアメリカだ。今後の世界を考える上で、アメリカで今何が起きているのか常にウオッチしていく必要がある。
アメリカ政府債務上限問題の本質は・・? 〜トランプの亡霊と、お好み焼き〜
バイデン、広島に来ないってよ? 来週開催されるG7広島サミットにアメリカのバイデン大統領が来られない可能性があると報じられ、衝撃を受けた。
その理由となっているのが、アメリカの政府債務の上限問題である。
米国は政府の国債発行などを通じた借金の総額を法律で定めている。上限に達すると議会の承認を得て引き上げる仕組みだ。
政権と野党共和党で上限の引き上げ交渉が進まず、6月1日にも資金が枯渇し、米国債が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクがある。
要は、政府が予算執行のために使える借金総額が足りなくなってきている。通常、議会の承認を受けてこの総額の上限を引き上げるのだが、野党の共和党が強硬に反対し、6月1日にもアメリカ政府がデフォルトに陥る可能性があるという事態となっているのだ。
続きを読む国際情勢はピタゴラスイッチ? 〜シリアとウクライナ〜
きょう、シリアが「アラブ連盟」に復帰するとのニュースが飛び込んできた。ロシアによるウクライナ侵攻への影響という視点で、以下考えてみたい。
まず、シリアはアサド政権による弾圧が激しく、2011年にアラブ連盟の資格を停止された。
*アラブ連盟とは、21カ国と1機構で構成されるアラブ諸国の地域連携機構である(いわば東南アジアのASEANみたいなものか?)
それが、なぜ今になって復帰が認められたのか?
これはなかなか一言で説明しにくそうだが、ざっくりいうと、アメリカが中東から手を引いていく中で、パワーバランスが変化し始めているということが言えそうだ。
大切なポイントの1つは、今年の3月に長く敵対してきたサウジアラビアとイランが外交関係の正常化で合意。これを中国が仲介したことが世界に大きな衝撃を与えた。
イランは長くシリアのアサド政権を支援してきたのに対し、サウジアラビアは欧米と同調しシリアの反体制派を支持してきた。つまり、シリアを舞台にも、サウジとイランは対立してきたわけだが、両国の関係正常化を受けて、サウジがシリア・アサド政権に近づいた。
アラブ連盟が12年ぶりにシリアの復帰を認めたのは、アサド政権が国内の主要地域をおさえ、内戦で軍事的な優位を確立したためだ。これを受けアラブ首長国連邦(UAE)などがシリアとの関係改善を進める姿勢に転換。今年3月にイランとの外交正常化を決めたサウジも、アサド政権との接近にかじを切った。
サウジだけでなく、UAEもシリアに接近。一方、カタールは慎重な姿勢を保つなど、アラブ諸国内でも温度差はみられる。
これが、ウクライナ侵攻とどう関係してくるのか?
ご存知の通り、シリアのアサド政権の強固な後ろ盾となっているのは、ロシアである。
ロシア目線で見てみると、アメリカが中東で存在感を失っていく中で、アラブ諸国が親露のシリアに近づいてくることは非常に好ましいことだ。ましてや、その1つの引き金を引いたのが、サウジとイランの間を取り持った中国なのだ。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないが、ピタゴラスイッチ的に、1つの動きが繋がりあって国際情勢は動いていく。
この動きがさらに今後どうなっていくのか。
まもなく開催されるG7広島サミットでは、日本は中東を含む「グローバルサウス」と呼ばれる諸国を自らの陣営に引き込み、力による一方的な現状変更を認めないなど法の支配を重視する価値観を普及させたい考えだ。
中ロとG7欧米諸国と、アジアを代表する日本。どのような駆け引きが展開されるのか。そこには、安全保障の問題だけでなく、エネルギーの問題や、多くの難民を受け入れているトルコの大統領選なども絡んでくる。目が離せない。