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個人的「公共」再構築のための自習スペース

コロナ3年で見えてきたのは・・・?

コロナの「5類」移行を受け、この3年の月日を振り返る動きが盛んだ。コロナ禍の3年で、何があったのか。地方自治体の少子化対策という視点で考える。

リモートワークが進み、一時は「東京一極集中」に歯止めがかかるかと思われた。しかし、最近になって、再び東京への回帰が進み、都内のマンション価格は右肩上がりが続いている。

コロナで、出会いの機会が失われ、結婚、そして出生数が少なくなった。予想を上回るペースで少子化が進み、去年は年間出生数が80万人を割った。岸田首相は、今年になって「異次元の少子化対策」をキャッチフレーズに打ち出した。

年初来、通常国会では、児童手当の所得制限撤廃や、フランスの「n分の1乗」、現金給付か現物給付か、財源問題など、さまざまな論戦が交わされた。

少子化対策には、国が主導して行うものと、地方自治体が行うものがある。

先月の統一地方選においては、「子育て支援」を訴える候補者が実に多かった。さながら地方では「子育て支援」合戦を行い、子育て世帯を奪い合っているかのようだった。

今朝の日経。

www.nikkei.com

タイトルの通り、子ども関連予算は増えているものの、出生率の向上につながっていない。記事中、このような記述が。

児童福祉費を20年前比で16倍に増やした奈良県天川村では逆に若年世代が6割減った。EBPM(根拠に基づく政策立案)に詳しい高崎経済大学の佐藤徹教授は効果が上がらない理由を「多くの自治体は何が少子化対策に結びつくかの可視化や、個別事業が出生率向上にどの程度結びつくかの検証ができていない」とみる。

これは非常に重要な指摘だと思った。

つまり、猫も杓子も「子育て支援」。政府の音頭に乗るかのように「異次元少子化」ワルツを踊っているわけだが、その内実に目を凝らしてみると、何が効果を上げるのか、大した検証もされていないというのだ。

それにもかかわらず、何となくの「子育て」ブームのようなものが生まれ、税金が浪費されているとすれば、こんなに悲しいことはない。

もちろん、子どもや若者への予算の投じられ方が、高齢者や社会保障と比較して少ないという指摘はその通りだし、もっと若年層や次世代に「投資」される社会であってほしいと思う。

しかし、「雑」はダメである。

記事中、このような福井県の事例が紹介されていた。

福井県は20年度から大学と連携して人口減少要因を分析している。「女性の婚姻年齢を1歳下げると希望出生数が0.14人増える」という結果から、早めに結婚した夫婦への支援金を新設するなどの取り組みを進めている。

思えば、コロナ予算の使われ方をとってみても、「幽霊病床」の問題などが指摘されてきたし(補助金を受け取りながらコロナ病床として稼働していなかったとみられる病床のこと)、補正予算予備費天文学的な数値も「緊急事態」ということで見逃されてきた。

5類に移行し、「平時」に戻るのであれば。

この3年間によって炙り出された日本社会の宿痾のようなもの(空気に乗ってどんぶり勘定し、喉元を過ぎれば熱さを忘れる)を見直す契機にすべきである。