韓国が動いた 日本は・・・?
米韓首脳会談のワシントン宣言。北朝鮮による核開発への対応をめぐる進展という視点で注目する。
核の拡大抑止の実効性を求める韓国に対し、アメリカは韓国にも発言権を与える枠組みの設置で応じた。
1980年代前半以来となる核兵器を搭載可能な米国の戦略原子力潜水艦の韓国への派遣や、核兵器が使用される不測の事態に備えて次官級で協議する「核協議グループ」の設置で合意した。
韓国では、核保有を求める世論が非常に強まっているという。韓国の専門家の中には、このワシントン宣言を次のように評する人もいる。
一方、韓国内には批判的な意見もある。北韓大学院大学の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は「国内の核武装論や戦術核配備の声を鎮めるための見せかけにすぎない」と指摘する。
韓国が感じている危機感は、当然、地政学的にも日本に共通するものだ。日本はどう対応すべきか。
思い出してみると、岸田氏が今年1月に訪米した際も、アメリカの拡大抑止を含めたコミットメントの確認が重要テーマだったように思う。
日米同盟については、バイデン氏が「核を含むあらゆる能力を用いた、日米安保条約5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント(関与)」を改めて表明。5条が沖縄県・尖閣諸島に適用されることも確認した。「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」も明記した。
アメリカの「核の傘」を日韓ともに切実に求めていることがわかる。
現在、岸田首相は、北朝鮮に対し、金正恩とは無条件で対話に応じる構えを見せる一方で、「反撃能力」の保有や防衛費の増額など、安全保障面での強化を進めている。当然のことながら北朝鮮は核開発の手を緩めていない。
それにしても、北朝鮮の核開発の資金や人材は、いったいどのようにして確保できているのだろうか? それこそが本当に謎である。
残念ながら、日米韓に与えられた猶予はそう長くない。特に心配なのが、北朝鮮が新たに戦術核の開発も急ぎだしたことだ。戦術核とは破壊力を大きく抑えた爆弾で、「使いやすい核」と呼ばれる。戦場において、敵軍の拠点や部隊を攻撃するために用いる。破壊力を制御する技術が要るため、なお開発の途上とみられる。
韓国の動きを見るにつけ、コントロールの効かない北朝鮮に対し、どのような対応が必要なのかと考えるきっかけになった。上記の日経では、日本は「タブーにとらわれず選択肢の総点検を」としている。日本は、世界で唯一の被爆国として、当然、核保有などは目指すべきではないという意見が根強い。さらに「核なき世界」は岸田首相の政治使命でもある。根深い難解な連立方程式は、来月のG7サミットでも立ち現れる。